「京都旅行」


 今回の「内輪ネタ」は,山杜は全く関わっていない話です。 友人のみっつ氏が,

「この話おもしろすぎなのでホームページにあっぷしてくれ〜」

 と言って原稿を送ってきてくれましたので,それを紹介したいと思います。 みっつ氏の先輩の方が,友人の方と京都に向かったときの話だそうです。 この原稿は,話を聞いたみっつ氏が書き起こしてくれました。

 この事件に全く関わっていない私でも大笑いできましたので,内輪以外の方でも楽しめると思います。 以下の文章に登場するのは, 「俺」ことみっつ氏の先輩, その友人あらぼう氏,そして車のフェアレディZです。


プロローグ


9月24日 未明

 俺とZは札幌であらぼうを回収して、 小樽から舞鶴行きのフェリーに乗るために札幌へと激走していた。 途中、コ生意気なNEWコルベットをやっつけてそれはもうご機嫌で。 そう、このとき俺は、これからおそろしい出来事が待ち受けているなんて 思いもしなかったんだ・・・


「フェリーにて」


 小樽港に着いてみると、出航が遅れるとのこと。 しかも俺はチケットをおとしてしまうし、 このときなんだか波乱の予感はしていたんだ・・・ 小樽から、舞鶴までは28時間。ひまだ・・・。 もーれつに ひまだ!! そこで俺達は船内のゲーセンでひまつぶしをすることに。 ・・・そして、"ついんびー"でしこたままきあげられた! くっそ〜!! 新○本海フェリーめ! 食糧はやけに高価だし。なぜかフェリーの中はインフレだ。たかだか一泊なのに。 がるる!


「本土上陸」


9月25日 17:00

 舞鶴到着。18:00からのシンポジウムに参加すべくかっ飛ばす! が、間に合わなかった。着いた頃には終わってた。あほらしい。


同 21:00

 俺達は虚しくも"吉ぎゅう"で食事を済ませたあと、Zで街にくりだした。 目的は『マイコさんをGET!』できるはずもないので、お願いしてなんとか 写真をとらせてもらうことだ。 『京都はやけに美人が多いなぁ〜』なんてかんどーしつつ、街を徘徊していたが 舞子さんはどこにもいない。がっかりだ。 このまま引き下がるのもシャクなんで、 駐禁の取り締まりをしていたK察をおちょっくてきた。 このときまだ、俺達は京都府警をあまく見ていたんだ・・・


同 深夜

 俺達はねぐらを探すために京大の周りをうろついていた。 もちろん俺達には『宿に泊まる』などという贅沢な選択肢は与えられていない。 あるのは車中泊 or 野宿の2択だ。しかしながらこの日はあいにくの雨。 『せめて雨をしのげるところを』と思い、 学祭の準備をしている京大生をつかまえて情報収集。 結局、体育館の軒先の下でねることに。 俺達は『明日こそがんばるぞ!』との想いを胸に寝袋にくるまった。 おやすみ・・・


「電気風呂」


9月26日 8:00

 う〜ん、すがすがしい朝だ。 ん〜、よく見ると目の前にはバス停があるではないか。 なんだか俺達すこし注目されてるぞ。 なんだよ、見るなよ! そんなにめずらしいかぁ!? ばかやろー!!! でも、ちょっといい気分。 さらに俺達はその場で湯を沸かし "モーニングティー" をキメテみた。 これは野宿の定番だ。 いそいそと職場へ向かう人達を見下ろしながらの茶はやはり格別。 もっといい気分になってきた。


 なんて阿呆なことをいってるばあいではない。 とっととずらからないと先生たちに見つかってしまう! よく考えてみると、今日は学会初日なのだ。が、そんなものはどーでもいい。 そんなことのために俺達は京都まで来たのではない! 目的はひとつ、"ネタづくり"だ!


 とはいえ、旅費を貰っているのでさぼるわけにもいかず夕方までは ぼろっちい京大で過ごす。


同 18:00

 俺達は旅の汗を流すべく、"平安湯"なる銭湯へ行った・・・。 そこには"電気風呂"があった。 俺は学会準備がいそがしく、もう何日も布団でねていない。 おかげで体の節々がいたむ。 しかし、 『この電気風呂に入れば俺の疲れはいやされるのでは・・・』 そう考えた俺は早速電気風呂に手をつっこんでみた。 そのとき俺は 『ん・・・?、ちょっと電圧高くねーか?』 と思ったのだが、 意を決して浴槽に飛び込んでみた!

『う゛ぎゃぁぁぁぁあぁ!!!』
『なんじゃ、こりゃぁ!!?』
『いてっ、いてぇっ! い゛てぇぇぇ!!!』

 俺の悲鳴がこだまする。 この風呂は"ちょっと電圧たけーかな?"なんてもんじゃねー。 高すぎだ!! 股関節は外れそうになるし、腰は砕けそうになるし、 風呂から出ようにも体がしびれてなかなか出られんし。 あやうく殺されるとこだったぞ、ばかやろー!! はぁはぁ。


 これですっかりやられてしまった俺は、その後ロクな成果もあげられず その夜は車中泊となった。 『あな恐ろしや、平安湯』 である。


「銀閣強襲」


9月27日 7:00

 京大構内に侵入してZで寝ていた俺達を、犬の散歩しているひとがじろじろ見てる。 なんだよ〜。 学校の便所で顔を洗って、身支度を整える。学祭の準備ではやくからきている 京大の学生が不審そうに俺達を見てやがる。 んだよ、見んなっつてんだろうがっ!! おっといけない。野蛮な生活のせいで心まで野蛮になってきた。 えっ? 元からだって?? う〜ん・・・


 2日めも学会はてきとーに流す。 午後はあらぼうが銀閣の偵察にいってきた。 もちろん夜に侵入するためだ。 し・か・し! あらぼうの報告によれば銀閣の周囲には有刺鉄線がはりめぐらされ、 監視カメラがいたるところに設置されているらしい。 しかも御丁寧に "ゲリラに負けるな!" なんて看板もあったりする。 さすがは国宝。K察も本気らしい。俺達がいままでにいたずらしてきた物の 数倍は警備が厳重だ。 この警備体制にはさすがの俺達もあきらめざるをえなかった・・・。残念!!


 この日は結局朝までプラプラ遊んで、かんてつで3日目の発表へと挑む。


「六甲のおいしい水」


9月28日

 今日は俺の発表がある日だ。大急ぎで準備して、なんとか無難に発表した、 つもりだったが東大の先生の予想外の質問にやられてしまった! まさに"クリティカル ヒット"!! ダメージを癒すのに夕方までかかってしまった。


 さて、昨日はあらぼうが銀閣を攻めてくれた。 ならば俺は 『金閣行くしかないっしょ!』 ということで、ひとり金閣へ。 着いた頃にはもう18:00近くて、当然参拝時間はすんでいる。 ところが金閣は銀閣とはちがって正門はフルオープンだ。 これが "王者の風格" か。まるで "うぇるかむ!" て感じだぜ!! なんてことを思いながら、俺は正面突破を試みることにした。 そして門のなかに一歩足を踏み入れた瞬間・・・


 光った。

"ピカッ" とライトが光った。 そして俺は思いっきり照らされた! 普段の俺ならここは構わず強行突破するところだ。 しかし、これは金閣だ。国宝だ。K察もメンツをかけて守ってくるに違いない。 そうおもった俺は、さすがにびびった! いちもくさんにZへ戻るとフルブーストでその場を去った。 もちろんライトを消して。 まじ、完敗です。


 なんだか、ここまでやられっぱなしの俺達。 そこで今夜は大阪方面を攻めてみることに。 大阪で"迷子度"100%になりながら、名所を見物した俺達は 湾岸線をぶっとばして神戸へ向かった。 目的地は六甲。 かの有名な "六甲の水"もーにんぐてぃー をキメル!! つもりだった・・・。


 Zをとばして六甲山頂にたどり着いた俺達。 しかし・・・ない。水が湧いているような場所はどこにもない! あるのは こ汚い 水のみ場だけだ。 "京極 ふきだし公園"のような物を期待してた俺達はがっかりだ。 しかし、俺は考えた。 『よく考えたら、山頂で水が湧いてるわけがねー。湧き水は麓からでてるはずだ!!』 『なるほど!』とみょーに納得した俺達だったが、今からそれを探してる時間はない。 なぜなら俺は次の日、シンポジウムの会場係の仕事があって8:45までに京大に くるように言われているからだ。そして今の時間は3:00をまわっている。 しかもここ数日ロクに寝ていない。 『もう、かえらなくちゃ』 そう思った俺は山を下りはじめた。 が、ひどい霧がでてきた。しかもきょーれつにねむい! 耐え切れなくなった俺はZをよせて眠りについた。4:30には起きるつもりで・・・


 ん〜・・・ あさもやのなか、眠りから覚めた俺は時計を見た。がーん! 6:45だ!! あと2時間しかない! ま、間に合うのか!? 俺はあせった。とりあえず高速を目指して走ったが、とーぜん迷子になる! しかも朝の渋滞だ!!


 が、久々のキレタ走りでなんとか間に合った俺だが、さらにひさんな事が・・・。


 じつは同じ講座に京都出身の奴がいるので、さりげなく"六甲のおいしい水"に ついてきいてみた。 『"おいしい水"ってさぁ、どこで汲めるの?』

『・・・。あー、あれね。あれは加工品だからね。山にいっても汲めないよ。』 だってさ!


 なんじゃぁ! そりゃ!! はよ いわんかいぃぃぃ!!!! またまたやられた俺達だった。


「そして事件は起こった」


9月29日

 連日の徹夜でふらふらになりながらも俺は何とか仕事をこなした。 さぁ、京都もこれでおさらばだ! やられっぱなしだったが、京都は美人が多かったからいっか! ここを去るまえに湯豆腐でも食ってくか! それから風呂も入ってくか! てなわけで、いい銭湯をさがしてるときだった。


ぶしゅぅぅ〜

 ・・・Zのボンネットから白煙があがった。水温計も急激に上昇している!! 『なんじゃぁ!? 渋滞でオーバーヒートか!?』 そう思ってZをとめて、下を覗くとらぢえーたーから水がドバドバ出ている! それはもう、 "もうだめ! はやく入れて〜!!" てな感じで溢れ出している。 しかもいくら水を足してもドバドバ溢れ出してくる!


 こまりはてた俺は目の前にあったスタンドで見てもらった。 原因はドレンボルトの折損。 『なんでそんな物が?』と思いつつ、 ボルトを交換してもらい何とか洪水はおさまった。 で、テスト走行をしてみたのだが水温は下がらない。 それどころかガンガン ヒートしていくではないか! もう、オイルもやけてしまって 煙もうもう!! ついに昇天してしまったのかと思ったぜ! なんとかスタンドに戻って考えた結果、 どうやらサーモスタットがいっちまったらしいということに。 これはスタンドでは手に負えないし、工場はもうしまってる。 明日まで待つしかない! しかも明日1日でなおるかどうかも"?"だ。 10月1日は東京で内定式だというのに。 俺は 『Zがなおらなかったら、会社をぶっちして京都の人間になるしかねー!』 などと思いつつ、スタンドにZをあずけて今夜の寝床を探しにいった。


 ショックのあまりてぶらで出かけた俺だったが、何だか雨のふってきそうな気配。 しかもちょっと寒い。寝袋なしで野宿は無理だ。 そこで俺達は"野宿の王道"へと向かった。 京都駅についてみると、思わずびっくり!! めちゃめちゃキレイだ! 床なんかぴかぴかだ!! 『こりゃいいや! 服も汚れなくてすむ。』なんて考えた俺達は、 ずうずうしくも携帯を充電しつつ、ホームレス仲間とともに眠りに着いた。 "尾崎"を口ずさみ、"悪T"を装着して・・・


「そして東京へ」


9月30日 7:00

 『ん〜、よくねた!』
『ん、なんだ? クソ! 勤め人たちめ!!じろじろ見るんじゃねぇ!』
いつものパターンで目覚めた俺。 あさいちで工場にZを持ち込む。


同 16:30

 やった! 何とかZがなおったぞ!! 何だか気分の良くなった俺達は東京へと旅だった。 『これなら東京まで楽勝だぜ!』なんて考えた俺達は名古屋城見物など、 寄り道をかましながら東京を目指していた。 が、これがまちがいだった。

 名古屋を過ぎてからもーれつな事故渋滞! しかも大雨!! 岡崎から東名に乗ったが、ものすごい雨でまともに走れん!! しかもいつもどーり、眠い!! 時間は10月1日4:00。 浜松IC手前のSAで休憩にした俺は10分だけ休むつもりだった・・・。


 が、目覚めたのは6:30をすぎていた!! なんか、いつもこのパターンだ。 東京までは約230km。しかも大雨。 『もしかして内定式に間に合わないんじゃねーか?』 とか思いつつ激走していく俺達だった。


 さて、二人とも内定式には間に合ったのだが、 どっちも着いたのは開式2分前というすべりこみであった。 もちろん俺はしゃちょーの講演のあいだ、約90分熟睡してたことはいうまでもない。


エピローグ「Zはヤン車?」


10月1日 夜

 内定式をてきとーにすませた後、とーきょーでクズヤロウ5人が集合した。 "ぎゅうたん" 食った後、やることないんで首都高を攻めてみた。 その帰りだった。

ガリッ!

 なんじゃ!? Zの腹をこすったようだ!

ズボボボボボ・・・!

 すげー音だ。 そう、腹をこすった時にフロントパイプに穴があいてしまったのだ! おまけにマフラーもまがってる!


 う〜ん、まるでヤン車のような音だ。 帰り道、新潟までの道のりではパワーが出ないせいで大変だったが、 この音のおかげで前を行く車がみんな道を譲ってくれました。 サンキュー!


 もちろんいまも"ブァリブァリ"と走ってるぜぃ!


 というわけで、あらぼうやられまくってボロボロになった旅行でした。


 けど、おかげで"ホームレス1級"にはなれたんでいーかなってかんじだね!!


おしまい

(文責:原作・みっつ氏の先輩,文・みっつ)


    戻る