【ジョニー・エース嫌いですか?】


 サマーアクションシリーズ2開幕と同時に,GET崩壊という波乱が起きました。 本来なら「三沢復帰」という明るいニュースで満たされるはずの今シリーズでしたが, 図らずも大転換期のシリーズとなってしまいました。

 GET崩壊の原因は,小橋に対するエースのやっかみだとか, エースは実力もないくせに小橋に挑戦状を叩き付けたんだとか,様々な説が流れていますが, エースを悪く言う説は数あれど,小橋に原因があると言う説は無いような気がします。 もちろんエースを養護する意見もありますが,全体的に見て少ないようにおもえます。 みなさん,ジョニー・エース嫌いですか?

 今年2月,エースが三沢の持つ三冠戦に挑戦したとき, インターネット上の多くのプロレスサイトで, 「今回の三冠戦は見に行く価値がない」 といった意味合いの書き込みが数多く見られました。 エースが苦節10年,やっとつかみ取った三冠挑戦であるにも関わらず,です。 ずっとエースを陰ながら応援し続けてした私にとっては,少なからず腹が立ちました。

 私の場合,日本人でも三沢や秋山といったレスラーよりは, 川田や田上,小橋といったレスラーにより感情移入できます。 なぜなら,私自身が不器用で,こと運動に関しては全くダメだったからです。 努力の結果,今では何とか「人並み」とまではいきませんが, みんなで楽しくスポーツをプレイできるぐらいにはなりました。 自分のそういう部分もあってか,天才肌のレスラーよりは, 不器用ながらものしあがってきたレスラーに共感してしまうのです。 「結果のでない男」ジョニー・エースもまた,私の心の琴線に触れるレスラーなのです。

 ファンの間では「万年中堅外人」だとか「パートナー頼りのレスラー」だと評されるエース。 2月の三冠挑戦の際,週プロの記事には「居候人生,表札のないレスラー」と書かれていました。 「ロード・ウォリアーズのアニマルの弟」というふれ込みで初来日し, ハンセンのパートナー,ウイリアムスのパートナー,小橋のパートナー, そういった地位を転々としてきました。 思えば,ジョニー・エース単独で良い評価を貰ったことは無かったような気がします。 確かに万人のファンに受け入れられるレスラーではないのかもしれません。

 昔は,強い外国人レスラーの宝庫だった全日本も,最近寂しい状況になってきました。 外国人レスラーの三冠挑戦もめっきり減り,日本人5強による三冠戦が主流となり, 観る側もそれが当たり前のように感じるようになってきてしまいました。 外国人レスラーの危機,今回,それを誰よりも強く感じたのがエースだったのではないでしょうか。

 ウイリアムスが去り,ハンセンの来日ペースもとぎれとぎれになった現在, 全日本における「最強外国人」の座は,「外様」ゲーリー・オブライトになってしまった感があります。 それに「待った」をかけられる外国人は,私はエースしかいないと考えます。 過去のエース−オブライトのシングルマッチ,エースはまだ一度も負けたことはありません。 「最強外国人への道」をエースは自覚したのではないでしょうか。

 今回のGETの分裂は,エース側の一方的なものだったかもしれません。 しかし,よほどの理由がなければ, あれだけ仲の良かった小橋とエースがケンカ別れするとは考えにくいのです。 小橋の目指す「新しい時代」とエースが目指す「最強外国人」,お互いの目標のためには, 組んでいることはマイナスにこそなれ,プラスになることはなかったのかもしれません。 だからといって「発展的解消」では,ファンも小橋も納得しなかったでしょう。 世界タッグは獲ったものの,まだ1度も防衛はしていなかったのですから。 だからこそ,エースは心を鬼にして,小橋に絶縁状を叩き付けた, 小橋の目標達成のためにも,自分の目標達成のためにも, そして,全日本全体の将来のためにも・・・。 私には,そんな気がしてならないのです。

 今後,エースは,ウルフ,スミスとチームを組むようです。 今度は自分がチームリーダーとなって,外国人レスラーの活性化に頑張って欲しいと思います。 そして,「エース」という名に恥じない,本物の外国人エースになってほしい, それが,絶縁状を叩き付けた小橋を納得させる唯一の手段である気がします。

(文責:山杜一平)


    戻る